太陽黒点

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いつまで田舎で消耗できずにいるの?

スクールアイドルミュージカル感想

 1月28日の大阪 昼・夜公演を観劇してきました。率直な感想としては、想像以上にがっつりとミュージカルでした。ミュージカル自体大人になってしっかり見たのは初めてかもしれない。9割方歌唱でのセリフで、全27曲とはこういうことかと思いました。

ストーリーについて

 2校の要素がかなり対照的に描かれてました。

 伝統と歴史を重んじる古風な椿咲花女子学校。先進的でビジネスのような運営をする滝桜女学院。しかし共通してあったのは、理事長が学校を発展させたいという思いと、その思いを自分の娘に押し付けてしまっていたこと。また、理事長の娘二人は自分の本当にやりたいことを知って、再認識して行動したこと。親から言われるだけではなく、自分の”やりたいという気持ちに素直になる”という私が考えるラブライブ!の本質に行きついていました。

 終盤の文化祭、椿咲花のステージで一人かけた状態でパフォーマンスをしてたのですが、欠けた分をフォローするのではなく欠けたままでパフォーマンスをしていました。ダンスはもちろん、歌唱パートすら穴埋めをしないという判断。これは穴埋めをする実力がなかったと判断するか、戻ってきてくれると信じて空けておいたと判断するか。個人的には後者だとうれしい。

 すでにスクールアイドルとして活動していた滝桜女学院のステージを観た椿ルリカが、とにかくやりたいと思ったからやってみたい!と思ってスクールアイドルを始めるところに、従来のラブライブ!主人公みを感じました。やりたいと思ったその気持ちで周囲を巻き込み突っ走っていく。μ'sの高坂穂乃果を連想させるカリスマ性がありますね。

 そういう意味で椿咲花女学校は、ラブライブ!として伝統的な学校なのかもしれません。

 滝桜女学院の滝沢アンズはセンターとして舞台に立ちます。序盤では理事長の意向でセンターに立つことができている存在として半ば見られているような描写がありました。しかし、中盤でアンズが滝桜女学院を去ってから、グループの精神的支柱になっていたことをメンバーが気づきました。アイドルのセンター、グループのリーダーとは単に実力が最も高い人物ではなく、メンバーのことを一番考えられる人がなるべきなのでしょう。

 自分がどうしたいかも重要ですが、相手のことも考えられるようになるのが良い。その気付きを得られたのが、両校の理事長たちです。

 学校の繁栄のために娘に期待をかけ、学芸を強いてきました。これも娘のためと思ってやっていましたが、結局は娘たちのやりたいことからは外れてしまい反発を受けることに。

 やりたい気持ちに素直になる。これを娘たちに気づかされた理事長たちは、学校存続のために合併し、理事長2人体制になることに。学生時代から競い合ってた2人ですが、なんだかんだ一つのやりたいことを一緒にやりたかったのかなって想像してしまいますね。あの仲直りにも見える合併話のシーンが一番感動した。涙出そうになった。あと、ライブパートで親バカ発揮してて可愛かった。

 ルリカとアンズの出会いは双方にとって大きなものでした。ルリカにとっては、やりたいと思ったけど自分には縁遠い世界だと思ってたスクールアイドルに踏み出すチャンスでもありましたし、アンズにとっては理事長の重圧から解放され、本当にやりたいことに取り組むことができる環境に身を置くことができました。

 アンズが元の学校に戻ることになり、アンズ無しでパフォーマンスは出来ないと不安に思うメンバーに対し”1番大事なのは出来るかどうかじゃない、やりたいかどうかだよ”という、ラブライブ!サンシャイン!!の高海千歌のセリフを想起させるようなルリカの姿勢に、メンバー全員が励まされ、ストリートライブを実行するに至りました。

 このあたりすっげぇラブライブ!って感じがして良いですね。

※追記(2023.1.29)

 考えが変わったので消しました。

 ストリートライブの際に、やっぱり自分たちは実力不足じゃないかと問われたルリカが、「それでもいい。やりたいという気持ちがあればOK」といった趣旨の発言をしてました。序盤でアンズたちに憧れてアイドル部をやろうとしましたが、ルリカにとってはアンズたちが目指していたプロとしてのアイドルではなく、仲のいいみんなと今この瞬間しか出来なことを楽しむためにアイドルがしたい。だって私たちは”スクールアイドル”だから。

 この舞台、ラブライブ!という名前を冠していないうえに、”スクールアイドル”という単語が出たのは終盤のこのシーンだけなんですよね。滝桜のアンズたち芸能コースのアイドル部はプロの世界を目指している集団で、ヒカルが言っていたようにプロのようなものなんですよね。そんなプロの世界からは縁遠い世界で純粋に楽しむ気持ちでアイドルをやってるルリカの姿は、アンズには昔の純粋に歌が好きでいた自分を観ているようだったのでしょう。

 

 

ライブパートについて

 ラブライブ!らしくライブパート有りです。舞台パートが終わって区切りつけてライブパート、ではなくあくまで舞台のなかでのイベントとして行われました。カーテンコールもずっと役のままで、役者として挨拶をすることなく終わりました。そこまで徹底してるとは......

 ライブパート、というよりは終盤で開催された文化祭ステージに、舞台の観客がそのままステージの観客として扱っており、我々も文化祭に参加しているかのような感覚を味わえました。

 私は左側の座席にいたので全体はよく見れなかったんですが、本業アイドル・舞台役者のダンスパフォーマンスは普段観る声優のパフォーマンスとはまた違いますね。そもそもこんな近くの席で座ってライブパフォーマンスなんて見れませんからね。じっくり観ることができました。双眼鏡は持っていきませんでした。10列目より前方だったからいらないですね。

 知った顔の役者さんは割と目で追ってました。若槻ミスズ役の西葉瑞希さんと来栖トア役の星守紗凪さんはアサルトリリィの舞台でよくみる顔です。

 星守さんは元気系後輩キャラらしくダイナミックに動く場面も多くて、役者のなかでは身長低いほうでしたが存在感がありました。サイドテールもめっちゃ動くし。

 西葉さんで覚えているのは、途中衣装のシュシュ?が壊れたかなんかで落ちてた時に、それをさっと拾ってしばらく手に持ってたんですけど、ダンスで目立たないほうの手にちょくちょく持ち替えてて、気が付いたらどこかにやってたんですよね。咄嗟にそれ出来るのさすがって感じですね。

 他の方も動きにキレがあってよかった。割と客席を観てくれるので、たぶん目が合ったかな~って人もちらほら。

 衣装にはラブライブを感じました。良くも悪くもアイドル衣装って制服感の強いスッキリ目のものが一般的ですが、ラブライブの衣装ってアニメ映えを重視しててリアルに持ってくると割とごちゃついてる印象があるんですよね。今回は役者のスタイルがめっちゃよかったので声優ライブ感は薄かったですが、みんな星守さんや佐藤さんくらいの背丈だったら普段観てるライブみたくなりますね。

 

ここすきポイント

 思いついた順に列挙するだけ。

ストーリー内で

・”きらりひらり舞う桜”は複数回やってたんですが、2回のルリカの夢の中のシーンが好き。滝桜と椿の生徒どっちも出てきたからそういうライブコーナー一度挟むのかなって思ったらイントロで椿の生徒がルリカ以外机に座って、ルリカだけオタクの振りコピみたいにやってたのが可愛かった。「制服の袖に腕を通し~」で上着と靴下までガッツリ穿きこむ振りしてたの可愛いかった。

・3回目、ルリカ、ユキノ、ヒカルでやってたごっこ遊びのようにやってたんですが、「きらりひら(アヨイショ!)きらりひら~」と合いの手いれて○○音頭みたいな振りでやってたのが愉快で好き。真似事するというより楽しくやってる感じ。

・最初は厳しい姿勢をとってた両理事長がスペシャルステージのときに娘の名前が書かれたタスキ掛けてニッコニコで出てきたのは笑った。オタク乱入の上に歌唱に混ざってくるんですが、歌唱レベチなのが面白さに拍車掛けてる。

・終盤1人欠けた状態でやった”君とみる夢”、歌唱パートもダンスパートも欠けっぱなしでやってたの、この曲を直前まで複数回やってたのを有効に使ってきたなと感心しました。頭の中でおぼろげにアンズの歌声が再生されるんですよね。舞台の演出として、パフォーマンスを一度停止させて舞台装置を半回転させ、上手を舞台裏として表現してたんですよ。その演出、映像作品として作らないと決めてるから出来ることだよな~って思いました。ラブライブのダンスパートってアニメ以降もライブとかで単品の作品として利用するので、演出として途中で止めるって出来ないんですよね。

・ルリカが逃げるユズハを追っかけるシーンがあるんですが、運動音痴のユズハの走り方がぐっちゃぐちゃで面白かった。なんかスキップに失敗してるような動きしてるんですよね。なんのシーンか忘れましたが、ぐるんぐるん周る(縦回転)するところとか唐突過ぎて面白かった。控えめキャラだったはずでは!?となるシーンでした。

・文化祭スペシャルステージでも”きらりひらり舞う桜”やったんですが、滝桜のアイドル部のアンサンブルの方々が1番をメインでやってたんですよね。ネームドのキャラが選抜メンバーという説明はなかったので、出るのはおかしいことじゃないけどソロパートまであって本当に学校の文化祭じみてるんですよね。

・アンサンブル、椿咲花に8人、滝桜に8人出てくるし、その他ストリートライブや関西私学委員会のシーンでも出てくるんですが、パンフレットには8人しか掲載されてないんですよね。まさかシーン毎に着替えて髪型変えてやってる......??着替えるだけならまだしも、髪は結構しっかり目に結んでたりしてたはずですが。

・ステージに回転床があって、舞台装置が学校を模してて表裏で学校が変わる演出。すごく大きい舞台装置がさーーっと回転していくのは迫力がありますね。ただ表裏を入れ替えるだけでなく、場面によっては半分回して学校以外のシーンを表現したり、45度くらいまわして舞台の表と裏を表現してたりと創意工夫を感じました。

 

キャラクターで

 役についても話そう。文量と熱量は無関係。

【】で囲うと遊戯王OCGのデッキテーマみたい

【椿咲桜女子高校】
椿ルリカ(act: 堀内まり菜)

 悩んでるシーンもあるけど、基本的にめっちゃ笑顔で良い。あふれ出るパッションを全身で表現してて、まさに主人公!って感じがした。ラブライブ!の主人公ってこうだよね......と思ったけど穂乃果以外そうでもないな。

 幼馴染に抱き着いたり、母へのお願いの仕方でもちょっと幼いところを感じれました。幼馴染を姉のように慕ってると言ってたので、ずっと可愛がられて育ったんだろうなぁ。自分のやりたいことを母に否定されたのに、事情を知るや母のために頑張りたいと素直に思えるところも、育ちを感じますね。

皇 ユズハ(act: 浅井七海)

 主人公の幼馴染枠。長身細身が控えめな性格を際立たせてる気がする。多分ルリカ役の人と頭いっこ分高い。身長差、身長差が良いんですよね。ちっこくてパワフルなルリカに振り回される長身の幼馴染。う~~ん、たまらん。手足長いからダンスステージでめっちゃ映えるよね。167cmあるらしいんですが、Liella!のLiyuuさんと同じくらいなんですよね。

 なんかいつものラブライブフィルターで昼公演見て感動してたんですが、よくよく考えたらあのAKB48チームBリーダーのパフォーマンスを眼前で観てるんですよね。それに気づいてからは、夜公演がより価値が出た気がします。権威主義者です。

 歌声が若干、茅原実里っぽかった。

北条ユキノ(act: 杏ジュリア)

 白カチューシャを違和感無く装着できる人間っているんだなぁ......太眉気味なのもいい。控えめ清楚キャラ感凄いのにルリカ先輩のことになると愛で狂いだすのも良いキャラしてる。ルリカのためなら何でもやりそう。ルリカ母(椿理事長)にまで愛が行きそうになってた時にヒカルに「ルリカだけにしときな」って諭されてたの笑った。

天草ヒカル(act: 小山璃奈)

 設定としてはバスケ部所属の運動得意系サバサバウーマンだったんですが、椿の5人並べてこの設定のキャラだ~~れだ?とやっても当てられるくらいベストマッチな配役でしたね。マーヤと一緒にボケツッコミのツッコミ役を当てられてるんですが、ほぼ全員に突っ込んでるのが良い。セリフ数増えるからね。アイドルをやろうとルリカが言い出した時も、あんまり悩まずに参加したりと程よいサバサバ感が良かった。

 アイドル衣装の時におなかを若干だしてたんですが、ちらっと見えるだけでもわかる、筋肉が凄い!引き締まってる!肩出してて良!4列目左側の席にいたときはほぼ眼前に来てくれたのでよ~~く観ることが出来ました。いや、一瞬しか見なかったはずなのに記憶に結構残ってるだけですね......

 めっちゃ髪さらっさら。ポニテの揺れ方が違う。芸能人かどうかは髪見ればわかるって本当なんだな。

三笠マーヤ(act: 佐藤美波)

 いやマジでツインテが似合う大人っておるんやな.......喜怒哀楽はっきり出すキャラ好きですね。ルリカが最近アイドルにハマってると言ったときはニコォォ....って笑ったり、アイドル部維持のため勉強してるシーンではわかりやすくシナシナになってて可愛かった。

椿 マドカ(act: 蒼乃夕妃)

 理事長~~~娘が突然アイドルやりたいって言いだしてびっくりして最初は否定したものの、娘のパワーに圧倒されて活動を認めてしまうんですよね。生徒数減少に悩んでる中で娘が変なこと言いだして、こっちの理事長も体調悪くしそうな感じ。

 娘の暴挙に付き合う他の生徒のことも心配したりと、割と生徒たちのことをしっかり考えてるんだなぁってわかるシーンが結構あるんですよね。学校されなんとかすればいい、と考えてるわけではないんですね。生徒のためを思ってるから、生徒に気づかされて成長できるキャラなんだろうな。

 関西私学委員会のシーンで身振りだけで何言ってるかわかるくらいの表情してました。「オホホそうよねぇ、人気獲りのためだけに学校本来の役割を忘れてるのではなくて~~??」って絶対言ってる。

 

【滝桜女学院】
滝沢アンズ(act: 関根優那)

 こちらもザ・主人公といった感じのクセの無いキャラ。人当たりがよさそうな感じがする。チームのリーダー、アイドルグループのセンターは本当にこういう人がなるべきなんだろうね。

 色々板挟みになってずっと苦悩し続けるキャラって感じがした。舞台だから全然見れるけどアニメだとオタクが脚本に文句言いそうなタイプ。

若槻ミスズ(act: 西葉瑞希)

 部長!スタイル良!顔ちっさ!まさか理事長に弱み握られてる系女子だとは思わなかったよ。理事長に言われた役割で自分のセンターへの夢を抑えつけながら頑張ってたせいか、部長の任が終わったらめっちゃ性格緩くなってて笑った。

 椿咲花へトアと一緒にアンズを説得にいくところ、あれたぶんミスズが独断で説得しに行こうとしてるところにトアがついてきたと勝手に思ってます。

来栖トア(act: 星守紗凪)

 元気系後輩キャラマジで好き。アンズへのあこがれとセンター取りに行くという目標へ全力で頑張ってる感めっちゃ出てる。

 ダンスでもたくさん飛び跳ねてるような気がするんですよね。

鈴賀レナ(act: 三田美吹)

 顔がLynnさん系統。レナはあんまり目立つことがなかった気がするんですが、後輩を気遣ってるセリフやシーンが多い印象でした。

 設定にダジャレ好きってあったのですが、披露することなくライブパート突入してましたね。でもライブパートでぶっこんできたので「あ~こういう設定あったな~~!」というのが先行してしまった。

晴風サヤカ(act: 青山瑠里)

 生放送で「この役って私そのものって感じなんですけど」とおっしゃってたんですが、マジで演じてる感がないくらい本物感(?)があったんですよね。個人主義で気の強い感じが喋ってなくても全身から出てる。歌唱に自信がある設定で「マイクもいらない~」というセリフ通りすっげぇ遠くまで響くような声をしてるんですよね。

 他の人が喋ってるときの立ち姿、腰に手を当てて片足に体重乗せてるあの感じが自分に自信がある人間特有のそれだった。セリフ数は多くないほうですが存在感があって良かったです。

 足がめっちゃ綺麗だった。もはや光ってました。一番背が高そうな感じがしたけどミスズのほうが身長あったのが意外だった。

滝沢キョウカ(act: 岡村さやか)

 理事長~~~冒頭のMV撮影シーンでめっちゃポーズ決めてたの可愛い。ヒール履いてるんですが、舞台袖にはけるときにスタスタと早足でいくんですよね。まぁ走るのはないだろうと思ってましたが、気持ち大股で早足なのがなんかこう、厳しい性格を表してるような気がします。

 椿に転校した娘が楽しそうに踊ってるのを観てるシーンがあるんですね。舞台装置の上の方で観てるので、観客からしたら結構遠くに立ってるんですよ。それでも表情だけで考えてることがわかるのすごいね。「うわ、あのアンズがあんなに楽しそうに歌って踊ってるなんて......」と思ってそうだなぁ、とか考えてたらそれをまんまセリフで言われた。

 

まとめ

 脚本書いた人はラブライブを、スクールアイドルというものをかなり理解してる人ですね。限られた時間のなかでやりたいことを全力でやる。ラブライブ!を冠していない作品ですが、ある意味原点に近いものを見せてもらえました。

※追記

 パンフレットに上の内容全部書いてました。パンフの焼き増しみたいなブログ乙......

 

 生で観る舞台は最高。